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前立腺肥大症

前立腺肥大症について

前立腺は男性だけにある生殖器で、栗の実のような形をしています。膀胱の下の尿道を囲むような位置にあることから、前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、頻尿、残尿感、尿をうまく出せないなどの排尿障害を起こします。進行すると症状が悪化し、尿意があるのに尿が出ない「尿閉」など深刻な症状を起こすこともあります。また、前立腺肥大症を放置していると腎臓に負担がかかり腎後性腎不全となるリスクも上昇しますので、早期発見と適切な治療が重要です。

このような症状がある方は
ご相談ください

  • 頻尿
    (排尿回数が増える・トイレに行ったばかりなのにすぐまた行きたくなる)
  • 夜間頻尿
    (夜間、1回以上トイレに行きたくて起きてしまう)
  • 尿意はあるのに尿が出にくい
  • 尿の勢いが弱い
  • 排尿に時間がかかる
  • 残尿感(排尿でスッキリ出し切れない感覚がある)
  • 突然、激しい尿意に襲われる
  • 力まないと尿が出ない
  • 排尿中、尿が途切れることがある
  • 尿意があるのに尿が出ない

初期症状はトイレが近くなったなど軽い症状しかありませんが、進行につれて排尿が困難になっていき、尿をまったく出せなくなってしまう「尿閉」という深刻な症状を起こすこともあります。また、症状が軽くても排尿後も尿が膀胱に残るようになると尿路感染症や腎不全などを合併しやすくなります。
さらに、トイレが近い、突然激しい尿意に襲われるといった症状は、外出や仕事、人付き合いに支障を及ぼしやすく、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)を大きく低下させる可能性もあります。
排尿に関して、気になることや不安がありましたら、早めにご相談ください。

前立腺肥大症の原因

前立腺肥大症は名称の通り前立腺が肥大する疾患です。前立腺が肥大する原因はまだ明確になっていませんが、男性ホルモンのバランスが加齢によって乱れることが関与していると考えられています。実際に年齢を重ねると前立腺は肥大しやすくなり、50歳を超えると前立腺肥大症の発症リスクが上昇するとされています。
他にも、肥満、生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)なども発症や進行に関与すると考えられています。

前立腺肥大症の検査と診断

症状の内容、はじめて症状に気付いた時期と経過、頻度、他の疾患の有無と服用している薬、症状に関するお悩みなどについて問診でしっかり伺います。
問診の内容から前立腺肥大症が疑われる場合には、下記の検査を行い、結果を総合的に判断して確定診断を行います。

尿流量測定検査
(ウロフロメトリー検査)

測定機器が搭載された専用のトイレで、いつも通りに排尿することで、尿量、勢い、排尿時間などを正確に測定できる検査です。座った姿勢・立った姿勢のどちらでも測定が可能です。

残尿測定検査

排尿後に超音波(エコー)検査を行って残尿量を調べます。

超音波(エコー)検査

前立腺の大きさ、形状、石灰化の有無など、リアルタイムの状態を把握できます。

前立腺触診(直腸診)

肛門に指を入れて前立腺の状態を触診によって確認する検査です。医療用ゼリーを使いますので、検査中の痛みや違和感はほとんどありません。

前立腺肥大症の治療

検査結果をわかりやすくお伝えし、可能な治療方法についてしっかりお伝えし、患者様と相談しながら治療方針を決めています。
治療方法は、大きく薬物療法と手術療法に分けられますが、軽度の場合は基本的に薬物療法が選択されます。状態にもよりますが、薬物療法は選択肢が多く、メリットとデメリット、リスクなどを十分に考慮した上でご自分に合った治療法を選択する必要があります。ご不明点があれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

薬物療法

症状の緩和や解消、前立腺の縮小、炎症を改善して腫れを抑えるなど、様々な効能を持った薬があります。また、薬の効果が現れるまでの期間にも違いがあるなど、お困りの内容やライフスタイルなども考慮して治療方針を決めることが重要です。漢方薬の併用も可能です。

5α=還元酵素阻害薬

男性ホルモンの働きを抑え、前立腺が徐々に縮小する効果を期待できる薬です。尿道を囲む前立腺による圧迫が弱くなることで排尿がスムーズになり、症状緩和につながります。ただし、薬の効果が現れるまである程度の期間がかかりますので、焦らずにじっくり治療に取り組む必要があります。

α1受容体遮断薬・PDE5阻害薬

排尿に関与する筋肉を弛緩させて尿路への圧迫を軽減し、スムーズな排尿を期待できる薬です。5α=還元酵素阻害薬に比べると短期間で効果を得やすいのですが、前立腺肥大自体は縮小しません。

漢方薬・植物エキス製剤・
アミノ酸製剤

前立腺の炎症を抑える効果が期待できる薬です。炎症が鎮まることで腫れがひき、尿路への圧迫が軽減されて症状緩和につながります。

手術療法

薬物療法では十分な効果を得られない、尿閉など重い症状がある、尿路感染症や腎臓病を併発しているなどの場合に検討されます。以前は開腹手術として行われていましたが、現在はほとんどのケースで侵襲が少なく回復も早い内視鏡による手術が可能になってきています。

内視鏡手術の流れ

尿道口から挿入した内視鏡スコープで状態を確認しながら手術を行います。
先端の電気メスやレーザーを使って、前立腺の切除・くり抜き・蒸散を行って肥大した前立腺を縮小します。
傷が最小限で心身への負担が抑えられ、術後の回復も早いことが大きなメリットとなっています。

症状の軽減するための
予防法とは?

排尿障害の症状は前立腺肥大だけでなく、様々な原因も関与しています。
排尿障害の症状を軽減するためには、早めに受診して適切な治療を受け、下記のような生活習慣を心がけることが重要です。

  • 尿意を我慢し過ぎず、早めにトイレに行く
  • 身体を冷やさない・足腰を温める
  • 習慣的に軽めの運動を行って血行や代謝を改善する
  • 便秘を解消する
  • アルコールや刺激の強い香辛料の過剰摂取を避ける

市販薬の服用は
前立腺肥大症を悪化させるの?

ドラッグストアで売られている市販薬の一般的な風邪薬や胃腸薬などには、前立腺肥大症の症状を悪化させる可能性がある抗コリン薬が含まれているものがあります。抗コリン薬は排尿を抑える作用があり、前立腺肥大症がある場合に安易に服用することは危険です。
前立腺肥大症と診断されたら、主治医と相談し、風邪や胃腸炎などの際に服用しても大丈夫な市販薬を聞いておくと安心できます。