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前立腺炎(急性・慢性)

前立腺炎について

前立腺炎について前立腺は男性だけにある生殖器のひとつで、膀胱の下にあり、尿道を取り囲んでいます。前立腺炎による炎症を起こすと尿道が圧迫されて頻尿や尿が出ないなどの排尿障害を起こします。前立腺炎は、急性と慢性の2種類に分けられます。

急性前立腺炎

急性前立腺炎とは

主な原因は前立腺に入り込んだ細菌感染による炎症です。健康な状態では細菌が入り込んでも感染を起こしにくいのですが、疲労や睡眠不足、糖尿病などの基礎疾患により免疫力が低下していると発症しやすくなります。前立腺肥大症を合併していることも多いので、疑わしい症状がありましたらお早めにご相談ください。

急性前立腺炎の症状

主な症状は、排尿時の痛み、38℃以上の高熱、頻尿、残尿感などです。炎症が悪化すると、悪寒、関節痛・筋肉痛、尿が出せなくなる尿閉などを起こします。突然、強い症状が現れることもあります。

急性前立腺炎の検査・治療

問診で症状や発症時期と経過、基礎疾患や既往症、服用している薬などについて伺います。尿検査、血液検査を行って細菌感染の有無を判断します。細菌感染による炎症とわかった場合には、抗生物質による治療が有効です。抗生物質は内服薬の処方、または点滴による投与を行います。
化膿して膿瘍を生じているケースでは、排膿のためのドレナージ手術を行う必要があります。また、尿を出せない尿閉や高熱が続いているなどの場合にも入院による治療が必要です。こうした際には連携医療機関をご紹介し、患者様が適切な治療を速やかに受けて頂けるようにしています。
なお、前立腺肥大症を合併している場合には、急性前立腺炎の治療を優先して行い、炎症が改善してから前立腺肥大症の治療をスタートさせます。

慢性前立腺炎

慢性前立腺炎とは

前立腺の炎症が長く続く疾患です。細菌感染による炎症が長引いているケースと、それ以外の原因によって生じている非細菌性慢性前立腺炎に分けられます。非細菌性慢性前立腺炎は、主に骨盤内静脈のうっ血や骨盤底筋群の過緊張によって生じ、発症には生活習慣が大きく関与します。最近では非細菌性慢性前立腺炎の発症が増加傾向にあります。
頻尿や射精時の痛みをはじめとした排尿や射精に関係した症状、肛門周辺の会陰部・脚の付け根である鼠径部、陰嚢部など、患部から離れた場所に痛みが生じる放散痛や不快感といった症状が現れます。ただし、急性前立腺炎と違い、発熱することはありません。

慢性前立腺炎の症状

主に下記の症状を起こします。

排尿に関する症状

  • 頻尿
  • 残尿感
  • 血尿
  • 尿道の違和感
  • 尿漏れ
  • 尿の勢いが弱い・排尿中に尿が途切れる
  • 尿切れが悪い

射精に関する症状

  • 射精時に痛みがある
  • 精液に血液が混じることがある

下腹部の症状

  • 鼠径部・会陰部・睾丸の鈍い痛み、違和感、不快感
  • 下腹部の痛み
  • 陰嚢のかゆみ

その他の症状

  • 脚の痺れや違和感

慢性前立腺炎の原因

骨盤内うっ血症候群や慢性骨盤痛症候群など、静脈のうっ血や骨盤底筋の過緊張が原因となって生じるケースが多くなっています。
前立腺は臓器の中で最も底の部分にあり、上からの重みを常に受けています。心臓からの距離も遠いことから、静脈の流れが悪化してうっ血を起こしやすい傾向があります。さらに、デスクワークや長時間の運転などの座り仕事、過度の飲酒、ストレス、運動不足、足腰の冷えなどのリスク要因が加わると、うっ血が続き、前立腺の周囲に血液が滞留してしまい、炎症を起こしやすくなります。

慢性前立腺炎の検査

前立腺の状態を確かめる超音波(エコー)検査、排尿状態を把握する尿流測定検査(ウロフロメトリー検査)などを行い、総合的に判断します。

超音波(エコー)検査

前立腺のサイズ、形状、石灰化やむくみの有無、周辺静脈の拡張など、リアルタイムの状態を観察できます。

尿流量測定検査
(ウロフロメトリー検査)

尿量、勢い、排尿時間などを正確に測定する検査です。測定機器が搭載された専用のトイレで、いつも通りに排尿する検査であり、座った姿勢・立った姿勢のどちらでも測定が可能です。

慢性前立腺炎の予防

再発しやすい疾患ですが、うっ血や骨盤底筋群の緊張につながる生活習慣を見直すことで再発リスクを低減できます。

座り仕事では、
こまめに立って歩く

デスクワークや長時間の運転といった座り仕事は、骨盤内うっ血を起こすリスクが高いので、1時間に1回程度立ち上がって歩くようにしてください。また、イスにクッションを置くなど、下半身への圧迫を緩和させることも有効です。

飲酒

飲酒は前立腺のむくみのリスク要因です。節酒や禁酒を検討しましょう。

運動

習慣的に軽い有酸素運動を行うと、血行や代謝の改善につながります。

足腰を冷やさない

足腰が冷えると血行が悪化します。冬は服装やカイロなどで下半身を冷やさないようにしてください。また、夏も過度に足腰を冷やさないように注意しましょう。

入浴

毎日、浴槽で身体を芯まで温めることをお勧めしています。

薬物療法

当院では、慢性前立腺炎の薬物療法による治療を行っています。細菌感染による慢性前立腺炎の場合、薬物療法をはじめて1ヶ月以内でほとんどの場合は症状が改善しますが、それ以降も半年程度は治療を続ける必要があります。治療を中断すると再発のリスクが高くなってしまうため、じっくり治療を続けましょう。